チーム保育が注目!?チームで保育をするメリットを改めて検証

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チーム保育という言葉を知っていますか?

チーム保育とは、複数のクラスを複数の保育士で担当する保育方法のこと。日本ではあまり浸透していませんが、世界では少しずつ取り入れられている保育方法です。

でも「どんなメリットがあるの?」「デメリットはないのかな?」「実際に実施している保育園はあるの?」と疑問に思うかもしれませんね。

そこでこの記事では、今注目されているチーム保育のメリットやデメリットについて詳しくご紹介。チーム保育を実施している保育園も紹介します。

ぜひ参考にしてくださいね。

チーム保育とは?

チーム保育でチームを組んでいる4人の女性保育士たち
チーム保育とは、「複数のクラスを複数の保育士で担当する」という保育方法です。

小学校や今までの保育園のように、1人の保育士(または先生)が1つのクラスを保育することはありません。

クラスが4つあったら、4人の保育士で役割分担しながら4クラス全部を保育します。

役割の内容は次の通りです。

  • リーダー:活動の中心となって、クラス全体をみる
  • サブリーダー:活動中に困っている子を助ける。お便り帳の確認などの雑務も行う
  • アシスタント:活動の準備や片づけ、お便り帳の確認などの雑務が中心

1人が「リーダー」となり、他の保育士は「サブリーダー」や「アシスタント」としてリーダーを補助します。この3つの役割は、みんなで交代しながら担当するのが基本です。保育園によって細かい仕組みは違いますが、1つの役割だけ担当することはほとんどありません。

このようにチーム保育とは、それぞれの保育士が異なる保育を行うことで、子どもたちを多面的に支える保育なのです。

それでは、なぜチーム保育は注目されているのでしょうか?

チーム保育が注目されている2つの理由

チーム保育が注目されている理由を説明している女性
チーム保育が注目されている理由は2つあります。

  • 保育園も幼稚園も「1クラス1担任」の体制が当たり前と思われていたから
  • 政府が支援しているから

やはり、社会的な反響が大きかったのは「複数クラス複数担任制」ということが理由でしょう。今までも「1クラス複数担任制」を導入したり、障がいをもつ子どものサポートするために副担任を配置することはありましたが、どうしても「特別」なイメージがありました。

教育では「1クラス1担任体制が一般的だ」と思う人も多かったため、「チーム保育」は注目されたと考えられます。

また、チーム保育を政府が支援していることも注目された理由の一つ。

例えば、チーム保育を実施している保育園では、条件を満たせば「保育士1人分」の人件費がプラスして支給されます。なぜ政府が「チーム保育」を推進するかというと、チーム保育を進めることで、保育士の負担が軽減できると考えているからです。

※なぜ保育士の負担が減るのかは、後にメリットのところで詳しく説明しますね。

保育士の負担が減ると、保育士が長く働ける環境にすることができます。保育士が長く働ける環境が整えば、保育士を辞める人が減るので、問題となっている「保育士不足」を解消できると考えているのです。

このような理由から、今「チーム保育」は注目を浴びています。それでは、チーム保育には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

チーム保育の4つのメリット

チーム保育のメリットを紹介する女性
チーム保育のメリットには、次のようなものがあります。

1.複数の目で子どもを見守れるので、子どもがより自由に活動できる

チーム保育では、複数の保育士で子どもたちを見守ることができます。すると、一人担任のときより子どもを見守る「目」も増えるので、子どももより自由に活動することができるのです。

どれだけ注意していても、保育士1人だけで子どもを見守るのには限界があります。チーム保育をすれば、多くの大人の目で子どもを見守ることができるのです。

2.トラブルがあっても、子どもの活動が中止しない

一人担任だと、クラスの子どもの一人が怪我したり、発熱などのトラブルが発生したとき、他の子どもたちの活動も止まってしまいます。

しかし、チーム保育ではサブリーダーやアシスタントの保育士もいるので、他の子どもたちへのフォローに回ることができるのです。

トラブルだからしょうがないと思っても、せっかく夢中になっていた遊びを中断してしまうのはかわいそうなもの。チーム保育では、子どもたちの集中力を削ることなく、スムーズに保育ができるのです。

3.一人担任よりも責任が分散できて、保育士の負担が軽くなる

チーム保育では、一人担任よりも保育士の仕事の負担が軽くなるのもメリットの一つ。

一人担任では、自分が全て責任を取らなくてはいけません。もっと先を見通した保育をしたいのに、イベントの準備やお便り作りなどの雑務に追われて、心も体もクタクタに…。「周りと協力しよう」と思っても、自分のクラスを回すことで精一杯です。

その点、チーム保育では役割をしっかり分けてクラスを運営します。「今日は細かい作業は〇〇先生に任せて、私はクラス全体を動かすことに集中しよう」「クラスの運営がしやすいように、雑務をしっかりこなしていこう」と責任を分散できるのです。

チーム保育では「他の先生に任せる」「自分の仕事に集中する」ことが可能になるので、保育士の負担が軽くなるということですね。

4.3つの役割を担当することで、自分がどんなタイプの保育士なのか分かる

チーム保育では、3つの役割を交代しながら担当するので、「自分がどのようなタイプ」の保育士なのかが分かるようになります。

一人担任だと、他の先生の保育方法も見て勉強することはなかなかできませんよね。そのため、別の保育方法がいいんじゃないかと思っていても、なかなか実行に移せないことも。その点、チーム保育では同じ教室に他の先生がいるため、他の保育士の保育方法をじかに見て学ぶことができます。また、3つの役割を交代できるので、自分らしく保育できる役割を見つけることができるのです。

例えば、「リーダー」の役割のときが一番イキイキするのであれば、「集団を仕切って引っ張っていく」のが得意なタイプと言えるでしょう。その代わり、子ども一人ひとりの状態を細かく観察することが苦手なので、サブリーダーを担当するときに観察力をつける訓練をするとスキルアップもできます。

このように自分のタイプを知ることによって、自分に足りない能力をさらに深めていくこともできるのがメリットと言えるでしょう。
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チーム保育の3つのデメリット

チーム保育でコミュニケーションを取るのに苦労している女性保育士たち
それでは、チーム保育にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?

1.コミュニケーションが少ないと、責任の所在が分からなくなる

チーム保育では、保育士同士のコミュニケーションが少ないと、責任の所在が分からなくなるのがデメリットです。

他の保育士がいるからと言って「あれはリーダーの役割でしょ」「言わなくてもアシスタントがしてくれるだろう」というスタイルでいると、最終的に「何でやってないの?」というトラブルが起きてしまいます。一人担任では仕事は全て自分でするので、「誰かがやってくれるだろう」という考えは生まれません。

しかし、チーム保育ではコミュニケーションがないと、責任は誰にあるのかが分からなくなり、子どもの事故につながることも…。

保育者同士でコミニュケーションを取り合い、連携の意識を高めておかないと大きな事故につながる可能性もゼロではないのです。

2.保育の仕組みが整理されていないと、保育士が苦労する

チーム保育では、仕組みをしっかり整理していないと保育士が苦労することになります。

例えば、3人の保育士でクラスを担当していたとしても、リーダーやサブリーダーなどの役割、仕事の分担も決めないでいると、1人が休んだときに手が回らなくなってしまいます。保育士がパニックになると、子どもたちにもその気持ちが伝わり、結果としてクラスが荒れてしまう可能性も。

しかし、日本ではチーム保育はまだあまり浸透していません。参考にできる保育の仕組みの例が少ないので、保育園自身で仕組みを考える必要があるでしょう。

メリットだけを見てはじめても、何も決めずにいれば苦労するのは保育士なのです。

3.教師の人数が多くなることで、しなくてもいい援助を子どもにしてしまう

チーム保育では、教師の人数が増えることで、子どもに「しなくてもいい援助」をしてしまう可能性があります。

一人担任のときは、忙しくてとても手が回らず、結果的に子どもが自立するということもよくあるもの。チーム保育では保育士の手が空くことによって、子どもが本来自力でできることにも手を貸してしまい、子どもの自主性を失ってしまうかもしれません。

子どもの発達に応じて、意識的に「目を離さず、手は出さない」という援助を心がける必要があるでしょう。
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チーム保育を実践している保育園の例

チーム保育をしている保育園の様子
このようにチーム保育には、デメリットも考えられます。しかし、これは一人担任制でもデメリットがあるのと同じ。どんな保育方法でも、完璧なものはありません。

メリットを活かしつつ、いかにデメリットを最小限まで抑えられるか、保育園で工夫していくことが大切なのです。

それでは最後に、チーム保育を実践している園を紹介します。

熊本県の城山幼稚園

城山幼稚園は、熊本県にある幼稚園です。「年少」「年中」「年長」の3学年で、それぞれ3クラスずつあります。城山保育園では、最初は1クラス1担当の保育を行なってしました。しかし、子どもが主体になれる保育を目指すために、今は異年齢クラスのチーム保育を行なっています。

また、遊ぶ部屋と食事をする部屋、ものを作る製作部屋と、活動によって部屋を分けているのがポイント。部屋を分けることで、子どもたちが自分自身でしたいことを選べるようになり、集中して遊べるようになりました。

http://ww71.tiki.ne.jp/~jyozan-k/k_inf_gai.html

まとめ

チームを組む保育士みんなで「力を合わせて頑張ろう」と気合いを入れている様子
チーム保育について、メリットやデメリットを紹介してきました。

チーム保育とは、複数のクラスを複数の保育士が担当するという保育方法です。保育士の負担が少なくなるだけでなく、より多くの目で子どもを見守ることができます。

ただし、日本ではあまり浸透していない方法なので、実践例が多くありません。コミュニケーションをしっかり取りつつ、保育園自身で細かい仕組みを考えていく必要があるでしょう。

完璧な保育方法というものは、存在しません。メリットはそのままで、デメリットは最小限まで抑えられるように工夫することが大切なのです。

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