産休と育休について検索中ですね。
女性が9割以上をしめる保育士にとって、妊娠中や子育て中の福利厚生は気になるもの。
でも「いつから休めるの?」「休んでる間、お給料は出るの?」と、どんな制度なのか詳しいことを知らない方は案外多いのです。
そこでこの記事では、産休と育休について詳しくご紹介。休める期間や復帰の仕方、取得する手順など、産休と育休の全てを解説します。
ぜひ参考にしてくださいね。
目次
産休、育休とは?どんな制度かおさらい
まずは産休と育休について、それぞれどんな制度なのか確認しておきましょう。
産休とは
産休とは、産前産後休業のこと。女性が出産するときに取得できる休業期間なので、男性は取得できません。
産休には、産前休業と産後休業の2つがあります。
産前休業は、出産予定日の6週間前から取れるお休みのこと。双子以上のときは14週間前から取得可能です。出産日も産前休業に含まれます。
もう1つの産後休業とは、出産の翌日から8週間休むことができるお休みのことです。
もし、予定日から遅れて赤ちゃんが生まれたとしても、予定日~出産当日までの期間は産前休業として扱われます。産後休業も、予定日ではなく出産日に合わせて休みを動かせるので安心ですね。
育休とは
育休とは、育児休業のこと。1歳未満の子どもを育てる労働者が、子育てのために取得します。
産休と違い、男女どちらでも取得できるのがポイントです。ただし、雇用形態によって取得できないケースもあります。これは後ほど説明しますね。
育休の期間は「子どもが1歳になるまで」ですが、父と母がともに育休を取った場合は「子どもが1歳2ヶ月になるまで」に延長されます(パパ・ママ育休プラス制度)。さらに、保育所に入れないなどの事情があるときは、「1歳6ヶ月になるまで」延長が可能です。
育休は、必ず仕事に復帰することを前提とした制度なので「育休を取ったら辞める!」という意志が固まっている場合には取得できません。不当な手段で取得した場合、「不正受給」の処分を受けることになるので、注意しましょう。
それでは、どれくらいの保育士が産休と育休を利用しているのでしょうか?
産休と育休を利用している保育士は74%
人材派遣会社「ウェルクス」のアンケートによると、保育士の74%が産休と育休を利用できていることが分かりました。
また、産前休業で休めた期間は、次のような結果になっています。
・5〜6週間:37%
・3〜4週間:11%
一方、産後休業で休めた期間については次のような結果です。
・産後8週間以上:89%
・産後6~7週間:11%
このように、産休については、多くの保育士が法律で定められている期間を休めています。
一方、育児休業で休めた期間については、次のような結果になりました。
・9~11ヶ月:11%
・6~8ヶ月:11%
・4~5ヶ月:21%
・1~3ヶ月:11%
・取得しなかった:21%
なんと、本来取得できる育休期間の半分(6ヶ月)よりもはやく育休を切り上げた人が32%、育休自体を取得しなかった人が21%もいたのです。
これは保育士不足で人手が足りていないため、早めに職場復帰をしている方も多いことを表しています。
それでは、産休と育休はどうすれば取得できるのでしょうか?
産休、育休はどうやって取るの?
産休と育休は、別々に申請します。制度のもとになっている法律が違うからです。ここからは、産休と育休を取得する流れをそれぞれ見ていきましょう。
産休を希望するとき
産前休業は、次の流れで取得するのが一般的です。
・園長や主任保育士と、いつから産休をとるか話し合い
・産休届を出す(保育園で用意されている紙か、無料のテンプレートでも可能)
産休を希望するときは、まず妊娠したことを保育園に伝えます。妊娠すると妊婦健診やつわりで欠勤が増えたり、休む間の仕事の引き継ぎもしなくてはいけないので、はやめに報告しましょう。
妊娠の報告をしたタイミングで園長から「産休はいつから取る?」と確認されることもあれば、もう少し週が進んでから話し合いすることもあります。
産休届は、産休に入る1ヶ月前に出すのが一般的です。ただし、妊娠中は急に体調をくずすこともあるので、何事も余裕を持って進めるのが良いでしょう。
育休の申請はいつするの?
育休は、次の流れで取得できます。
・育休開始予定日1ヶ月前までに、「育児休業等取得者申出書」を保育園に提出する
育休を希望するときは、とにかく希望日の1ヶ月前までに「育児休業等取得者申出書」を保育園に提出しなくてはいけません。
保育園がこの申出書を年金事務所に出すことで、育休中の社会保険料を免除する手続きが完了するからです。そのため、直前に「来月から育休取ります!」と言っても対応できないことも。
まずは育休を開始する希望日を決めて、早めに保育園に申し出ましょう。
また、もし育休を延長するときは、そのたびに「育児休業等取得者申出書」を年金事務所に提出しなければ行けないので注意してください。
産休と育休は、正職員じゃなくても取れるの?
パートさんやアルバイトの保育士にとって、「自分も産休と育休は取れるのか」というのは気になる話題ですよね。
結論から言うと、パートさんやアルバイトの保育士でも、産休と育休は取得できます。とくに産休は、勤務先の健康保険に加入している女性なら誰でも取得可能です。
ただし、育休は次の一定の条件を満たしていないと取得できません。
・子どもが1歳になっても、雇用されることが見込まれる
・子どもが2歳になる前々日までに、労働契約期間が満了しない(更新が明らかである)
さらに、次のような働き方だと育休を取得できないと決まっています。
・1年以内に雇用関係が終了する
・週の労働日数が2日以下
・日給
しかし、国の制度は利用できなくても、保育園によっては独自の支援制度を取り入れているところがあります。もし、「自分は育休もらえないかも……」と思ったら、まず保育園に確認してみましょう。
産休中、育休中にお給料は出るの?
次は、産休中と育休中のお給料について説明します。
まず、原則として休業している間は、保育園から受け取ることはできません。しかし、勤めている保育園の健康保険や雇用保険に加入していれば、次の3つの手当をもらうことができます。
・出産育児一時金
・育児休業給付金
どういうお金なのか、具体的に見ていきましょう。
出産手当金
出産手当金は、産休中にもらえるお金です。
産前、産後休業の期間でお給料を受けとれなかったとき、勤務先の保育園で加入している「健康保険」から支給されます。もらえる金額は、お給料の3分の2相当額程度です。
お金は一般的に産前、産後休業期間を合わせて一括で支払われます。受け取るためには、次のような手順を踏みましょう。
・入院中に医師から証明を受ける
・産後56日後(産休後)に、保育園に提出
(もしくは、自分で所轄の社会保険事務所に提出)
もし、出産日が予定より遅れたとしても、出産手当金は実際に休んだ日数で計算されるので安心してくださいね。
出産育児一時金
出産育児一時金とは、出産したときにもらえるお金です。妊娠4ヶ月以上で出産したときに、加入している健康保険から支給されます。支給金額は、子ども1人当たり約40万円です。
出産育児一時金の目的は、出産するときの高額な入院費に充てること。
そのため、次のような支払い方法が用意されています。
・健康保険から、直接病院に出産育児一時金を払う(直接支払制度)
産後申請では高額な入院費を一度全て払わなくてはいけませんが、直接支払制度では入院費のうち出産育児一時金の額を超えた分だけの支払いでかまいません。そのため、高額な入院費を支払わなくてすみます。
また、産後申請の場合、振込の申請をしてから2週間~2ヶ月後に振り込まれるので注意しましょう。
育児休業給付金
育児休業給付金とは、育休中にもらえるお金のこと。育児休業を取得した労働者が、次の条件を満たすときにもらえます。
・就業している日数が1ヶ月ごとに10日以下であること
・さらに育休終了の月は休業日が1日以上あること
もらえる金額は、育休開始時の賃金日額の67%(休業開始~6ヶ月経過後は50%)です。賃金日額は「過去6ヶ月間に受け取ったお給料の総額÷180」で計算できます。
育児休業給付金をもらう手続きは、次の通りです。
・書類に必要事項を記入して、保育園に提出
提出から約2〜5ヶ月後に、育児休業給付金の初回分が振り込まれます。約2ヶ月ごとに次回分の手続きしないと、給付金はもらえないので注意してくださいね。
このように、産休中でも育休中でも、お金は入ってきます。しかし、どのお金も「産休や育休に入ったらすぐもらえる」わけではありません。そのため、3つの手当を生活資金として考えている方は注意がしましょう。
社会保険料や住民税はどうなるの?
産休中や育休中でもお金が入るものの、働いているときよりも収入は下がります。そんな中、社会保険料や住民税の支払いはどうすればいいのでしょうか?
まず、健康保険や厚生年金の保険料は、産休中でも育休中でも徴収されません。この期間は保育園からのお給料がストップするので、保険料も計算されないからです。
手続きについては、保育園が行ってくれます。
ただし住民税は、産休でも育休中でも支払わなくてはなりません。産休中も育休中も保育園からのお給料が入らないため、自動的な天引きも止まります。住民税の支払い方法は保育園にしっかり確認して、きちんと毎月支払いましょう。
産休や育休から復帰するときは、どうすればいいの?
それでは、産休と育休から復帰するときはどうすればいいのでしょうか?
復帰するときは、次の点について家族と職場に相談することが大切です。
・働き方はどうするのか
復帰の時期は、最短で産後6~8週間(産休終了直後)か最長で1年~1年6ヶ月後(育休終了後)です。
この期間のいつから働けそうか、自分の体調や子どもの保育園入学も考えて決めなくてはいけません。
また、子どもがいるとどうしても急に発熱したりして、急な欠勤や遅く出勤しなくてはいけないこともあります。そうすると、周りの人たちへの負担となってしまう可能性も。
このようなことも考慮して、復帰前と同じ正職員で働くか、短時間勤務にするのか話し合う必要があります。
自分にも周りにもストレスがかからないように、早めの相談と行動を心がけましょう。
復帰するために使えるうれしい制度
産休や育休から復帰したとき、知っておくと便利な制度を紹介します。
時間外労働や、休日労働の免除(産後1年以内の復帰)
1歳未満の子どもを育てる女性は、妊娠中と同じように時間外労働や休日労働の免除を申請できます。また、医師からの指示があれば健康診査に必要な時間を確保するよう申請することも可能です。
短時間勤務制度
3歳未満の子どもを育てながら働くときは、短時間勤務制度を利用できます。短時間勤務制度とは、原則として1日6時間です。
子どもの看護休暇
どうしても子育てで避けられないのが、子どもの体調不良。
そこで、未就学児の子どもを育てる労働者は、年休とは別に年5日(2人以上なら10日まで)の休みを申し出ることができます。
病気やケガをしたときの看病、予防接種や健康診断のためのお休みを取得可能です。
時間外労働や深夜勤務の禁止
未就学児の子どもを育てる労働者は、請求すれば「1ヶ月で24時間」または「1年で150時間」を超える時間外労働を拒否できます。
深夜勤務も禁止です。
復帰するときは、これら制度もうまく使って家庭と仕事を両立させましょう。
産休や育休は当然の権利!
このように、産休と育休は子育てをする人に与えられる当然の権利です。
しかし、保育園の中には、妊娠や出産を理由に保育士を辞めさせたり、お給料や地位を低くするところも。
これは「不利益取扱い」と言って法律で禁じられています。もし、あなたが妊娠したときにこのような扱いを受けたら、自分の住んでいる都道府県の労働局に相談しましょう。
匿名で相談することも可能なので、「もし私が言ったってバレたら…」という心配もありません。
こちらのページで、各都道府県の労働局を紹介しています。
まとめ
産休の育休について、取得する方法や復帰方法を紹介してきました。
9割が女性である保育士にとって、産休や育休はとても大事な制度です。自分のライフプランのためにも、しっかり制度を理解しましょう。
産休中や育休中は、お給料は基本的に出ません。そのため、出産手当一時金などの支援も積極的に使いましょう。
この記事が、保育士さんの人生の助けになれば幸いです。