「保育士は大変と聞くけど、どれくらい大変なんだろう?」と疑問に思っていませんか?
結論から言うと、保育士の仕事はとても大変です。人間関係や仕事の内容、責任の重さなど、外から見るだけでは分かりにくい苦労があります。それでも、「やっぱり保育士は楽しい!」と感じているからこそ、今も保育士として働いている人がたくさんいるのです。
ここでは、「保育士って子どもと遊ぶだけじゃないの?」と思っている方に、保育士の仕事の大変さについて紹介していきます。
目次
保育士の仕事で大変なこと
保育士の仕事で大変なことは、大きく分けると4つあります。
- 人間関係
- 責任の大きさ
- 体力
- 待遇の低さ
それぞれどんなところが大変なのか、詳しく見ていきましょう。
1.人間関係
保育士は、子ども一人ひとりの成長をサポートするのが仕事です。しかし、子どもだけ相手にするわけではありません。
子どもの保護者や職員と協力しあうことで、子どもに良い環境を与えるのを理想としています。
それでは具体的にどのようなところで苦労するのでしょうか?
子ども
子どもの中には、注意してもいうことを聞かない子どもがいます。他にも、なかなか集団になじめなかったり、すぐに友達をたたいてしまうなど、感情や行動をコントロールできないことも。
言葉で説明してもなかなか伝わらず、保育士がどんなに一生懸命に接しても努力が報われないこともたくさんあります。
このように、「こんなはずじゃない」「こんなにがんばってるのに」と理想と現実のギャップに苦しめられる保育士も多いのです。
保護者
子どもを預かるうえで、保育士は保護者とのコミュニケーションがかかせません。しかし、保育士の90%以上が、保護者との関係に悩んでいます。
例えば、不当なクレームや理不尽なことを言われたり、ひどいときには保育士のプライベートに干渉してくることも。
ただしクレームのほとんどは、保護者が自分の子どもを大切に思っているからこそ起こります。
保育士もその気持ちを理解しているため、心の中で「勘弁してよ…」と思いつつも強く反発できません。
保護者の気持ちも「分かる」と受け止めつつも、自分の心は反発しているという「感情のねじれ」に苦しんでしまう保育士が多いのです。
»「保護者と話すのが苦手。。」そんな保育士が保護者と信頼関係を築く6つの方法
»保育士が保護者とのトラブルに上手く対応するコツ
職員同士
職員の人間関係がうまくいかないと、仕事が回りませんよね。実は、保育士の退職理由の上位には、必ず「職員との人間関係がうまくいかなかった」というものがあります。
うまくいかない原因として代表的なものが、女性社会であるという点です。
保育園は職員の96パーセント以上を女性が占めています。そのため、女性社会独特の「グループ派閥」ができたり、感情の上下が激しい同僚と出会うことも。
人の反応を気にしながらだと、仕事に集中できません。ストレスがたまりやすくなるだけでなく、子どもたちも混乱させてしまうことにもなるのです。
2.責任の大きさ
保育士は、保護者から子どもを預かる責任が大きい仕事。とくに、クラスの運営や子どもの見守りが大変と感じる保育士はたくさんいます。
クラス運営
現在、保育園では保育士不足のところが多いです。そのため、子どもの数に対して最低限の保育士しか配置していない保育園もあります。
すると、新卒でもいきなり1人でクラスを運営することに。全く経験のないまま、「全部が自分の責任になる…」と考えると、不安で押しつぶされそうな気持ちになりますよね。
»保育園で一人担任を任されたけど不安。。。乗り切るコツと方法を解説
子どもの命を預かっている
保育士にとって、一番気を使うのが子どもの健康です。大人より体が小さい分、ちょっとした衝撃でも大きなケガにつながったり、体調の変化も急に起こります。
基本的に、保育士の休憩時間は子どものお昼寝の時間。しかし、お昼寝のときも子どもの呼吸が止まる「乳幼児突然死症候群」が起こるリスクがあります。
2人なら交代で子どもを見ることもできますが、1人担任だと休憩中でも気を抜けません。
小さな命を預かるという責任は、ここまで重いのです。
3.体を壊しやすい
保育士は、体力勝負の仕事。底なしの体力を持つ子どもたちと向き合うためには、全力を出さないといけません。
とくに、保育士の職業病とも言えるのが「腰痛」です。
泣いている子どもをあやすために抱っこして、落ち着いたと思ったら別の子どもが泣き出す…なんてことは日常茶飯事。
他にも、子どもの身を守るため、とっさに体を動かすことも多いですよね。
また、お昼寝のお布団を1枚ずつ並べたり、教室を整えるために重い荷物運んだりと、体に大きな負担がかかります。
腰痛のひどさから、保育士を辞めてしまう人もいるほどです。それでも、基本的に労災はおりません。
そして、日中体力を消耗した後に残っているのは、事務作業です。夜まで仕事をするとホルモンバランスを崩してしまい、頭痛や生理痛がひどくなることもあります。
このように保育士の仕事範囲が広いため、体調も崩しやすくなるのです。
4.待遇の低さ
保育士は、仕事のわりに待遇が良くないと言われます。
ここでは、お給料と残業について見ていきましょう。
給料が低め
保育士の給料は、はっきり言って高くありません。地域や保育園、勤務年数によって差がでてきますが、保育士全体の平均月収は21万円ほど。
初年の月収は低いところで、手取り10万円ということろもあります。
ただし、全ての保育園で給料が低いわけではありません。公立保育園では、勤続年数が長いほど給料も上がりますし、産休や育休などの福利厚生も充実しています。
一方、私立保育園では手取り20万円のところもあれば、勤続年数に関わらず手取りが変わらないところも。
一人暮らしできるほどの金額ではないので、私生活が充実しないと感じる保育士もいます。
仕事がハードな分、待遇が良くないと感じるのも当然ですね。
仕事量が多すぎて、残業しても追いつかない
保育士は待遇が低いと言われる理由のもう一つに、仕事の多さがあります。とくに、残業しても仕事が終わらず、家に持ち帰らないと片付かないということも。
日中、保育士は子どもの見守りに手がいっぱいで、他のことまでなかなか手が回りません。そのため、子どもが帰った後、一気に次のような仕事に取り掛かります。
- イベントの衣装や小道具、台本づくり
- クリスマス会や誕生日会などイベントのお誘いカードの作成
- 保育指導計画づくり
- 子ども一人ひとり保育日誌の記入
- クラスだよりの作成
- 運動会や発表会の振つけの考案
これらの仕事を持ち帰っても、給料には反映されません。持ち帰り仕事に使う時間は、1日に平均2時間。
とくに、発表会や運動会などイベントの一週間前は、食事以外は全て作業時間に使うこともあります。
また、持ち帰り仕事をすることで睡眠時間が短くなると、眠さのあまり注意力や判断力が鈍ってしまいます。すると仕事がスムーズに進められず、また残業するという悪循環になってしまうのです。
»もう辞めたい!持ち帰り仕事の多さに疲れた保育士のための6つの解決策
まとめ
保育士の仕事の大変なところを紹介してきました。
保育士は、たくさんの人と関わりあうため、人間関係にも悩みやすい仕事です。さらに、子どもの相手をするだけでなく、全ての事務や雑務も対応しなければいけません。また、クラスを運営する責任もあるため、体力も心も消耗してしまいます。
それでも、今の日本に保育士は絶対に必要です。子どもと遊び、集団行動や生活のルールを教えるには、専門的なスキルがなくてはいけません。保育士は、誰にでもできるわけではないのです。
大変なところも知ったうえで、「やっぱり子どもが好き!」「子どもに関わる仕事がしたい!」という方は、ぜひ保育士にチャレンジしてみてくださいね。