「幼児教育無償化」とは、政府が2019年から導入を決めた制度のこと。小学生未満の子どもたちへの教育費用を無償にすることで、待機児童問題を解決しようという計画です。
「子育てには何かとお金がかかるから、無料になるなんてうれしい!」という声がある一方、いくつかの問題点も出てきています。
ここでは、幼児教育無償化の内容について分かりやすくご説明。メリットや問題点も含めて、全体像を見ていきましょう。
目次
幼児教育無償化とは?
幼児教育無償化とは、小学生未満の子どもへの教育にかかるお金を無償にする制度のことです。具体的にいうと、幼稚園や保育園の利用料金が無料になります。
利用料金が今より安くなることで、入園する児童を増やし、さらに保育士や幼稚園教諭の雇用も増えることが期待されています。
子どもがいる家族にとっては家計の負担が軽くなるので「制度はいつから始まるの?」「私の子どもは使えるのかな?」と気になりますよね。
一方、現在保育士をしている人やこれから目指そうと思っている人だと「無償になったら保育士の給料は下がるんじゃないの?」と心配に思っているかもしれません。
そこでここからは、幼児教育無償化についてもっと詳しく見ていきましょう!
いつから始まるの?
2019年4月に先行して、5歳の子どもに対する無償化を行うことが決定しました。5歳以下の子どもについては、2020年に本格導入が予定されています。
残念ながら2020年の時点で6歳になっていると対象から外れてしまうため、無償化によるメリットは受けられません。ただ、制度の詳細はまだ決まっていないので、これからも政府の発表をチェックしておきたいですね。
対象年齢は何歳から?
幼児教育無償化の対象年齢は、0歳~5歳です。
所得制限はあるの?
幼児教育無償化は、両親の所得に関わらず、全ての子どもに適用される予定です。ただし、年齢や施設によって、少し金額が違ってきます。
どのような制限になるか、具体的にはまだ決まっていません。ただ、今の時点でも案は公表されているので、まずはこれらについて見てみましょう。
現在の案は?
今政府が掲げている案をまとめてみました。
2018年、無認可保育園については、保育園のサービスの内容ではなく「自治体が保育の必要があると認定した家庭」だけ対象にするという方針になりました。
これは「認可保育園に入りたかったけど、やむを得ず無認可保育園を利用している家庭が、無償化の対象から外れることを防ぐため」と政府は説明しています。
自治体がどのように「保育が必要な家庭」と認定するのかはまだ明らかになっていないので、詳しい動向をチェックしていく必要があるでしょう。
幼児教育無償化を申請するにはどうしたらいいの?
幼児教育無償化を受けるには、住んでいる自治体に書類を申請しましょう。
申請方法は次の通りです。
・幼稚園や保育園で毎年渡される書類に必要事項を書く
・期日までに自治体に提出する
ただし、自治体によって幼児教育無償化の対象が違ってくることがあります。まずは、今通っている幼稚園や保育園、住んでいる市区町村役場でチェックしましょう。
幼児教育無償化のデメリットは?
「子育てにかかる金額が減ってうれしい!」という声が上がっている一方で、幼児教育無償化に反対している人もいます。
サービスの質は大丈夫?
幼児教育無償化に反対派の意見で、一番多いのが「サービスの質が下がる」というもの。
現在日本では保育士が不足している状態です。もし、幼児教育無償化が進むことにより、保育園や幼稚園に入る子どもだけが増えて、保育士が増えなかったら、今より保育の質も下がるのではないかという心配があります。
実際に、2013年から幼児教育の無償化を実施した韓国では、保育園での子ども虐待事件が相次いで起こりました。細かい制度や子どもの人数も異なるため、全く同じことが日本で起こるとは言い切れません。それでも、日本の保育士の待遇が低いこと、財源は無限にあるわけではないことを考えると、心配になってしまいますね。
一部の地域では、「利用料を無料にするよりも、もっと保育士の給料を改善して、保育の質と量の確保を優先するべきだ!」という意見書を政府に提出しています。
保育の質が下がったとしたら、被害を受けるのは子どもたちということを忘れてはいけません。
結局、教育格差が広がる
一部では、「教育格差が広がるのではないか」と心配する声も上がってきています。
所得が低い家庭では、すでに保育料は免除される仕組みになっています。もし、幼児教育の無償化が進むと、高所得の家庭も保育料が無料になる可能性も。
その結果、高所得の家庭はお金がさらに余ることになるのです。そして幼児教育無償化で浮いたお金を子どもの塾や他の習い事などに使うことによって、高所得者の子どもはより良い教育が受けられるようになります。
一方、現在すでに無償化されている所得が低い家庭は、幼児教育の無償化が進んでも、子どもを塾や習い事に通わせるほどお金に余裕ができるわけではありません。
高所得者の子どもだけたくさんのことを勉強できるため、「結局、教育格差が広がるのでは?」という声が上がってきているのです。
保育士の給料はどうなるの?
幼児教育無償化では、今のところ月3000円ほど保育士の給料を上げるとしています。幼児教育無償化が始まれば、保育士の数がもっと必要になりますよね。つまり、給料をアップさせることで保育士になりたい人を増やすことが目的です。
本当に保育士の給料がアップするかは、まだ確定されていません。それでも幼児教育無償化が行われると、保育士の需要は間違いなく増えます。そのようになれば、保育士の待遇アップが期待できるかもしれません。
まとめ
幼児教育無償化制度について、内容や問題点を紹介しました。
保育料が今より安くなることで喜ぶ声がある一方、反対している人もいます。今のところ、保育士や幼稚園教諭の需要がもっと大きくなるということは言えるでしょう。
ただし、まだ細かい内容について議論が続けられています。定期的にニュースをチェックしていく必要があるでしょう。