女性の職業のイメージがあった保育士の仕事ですが、少しずつ男性保育士の数が増えてきました。保育園側としても、防犯面、父親的存在、女性保育士では出来ない発想など、様々なことに期待しています。しかし、まだ女性の職業のイメージが強い為、いざ働いてみるとたくさんの悩みや苦労が出てきます。
今回、この記事では男性保育士特有の悩みや苦労話について紹介していきます。これから、保育士として活躍していきたい男性の方は必見です。
目次
男性保育士特有の悩みや苦労話ってどんなのがあるの?
それでは、さっそく男性保育士特有の悩みなどについて紹介していきましょう。
男女分離化が進んでおらず、トイレで着替えを行う
まず一つ目の苦労話として挙げられるのが「男女分離化」が進んでいない職場があるということです。女性の数が圧倒的に多い保育の現場ではトイレが男女兼用であったり、男性用の更衣室やロッカールームがない職場が一般的です。
比較的新しい保育園では男女の分離化は進んでいますが、昔からあり、設備が古い職場だとトイレが共有だったりします。男性としては、トイレに行きたくてもちょっと気を遣う必要が。
また、ロッカールームがないので着替えをする場所はトイレか物置などになるのも悩みどころ。誰かが使うかもしれないと考えるとゆっくりと仕事の準備もできないでしょう。
保育園の中には「男性保育士を入れたいけど、その設備がないので採用を見送っている」というところもあります。男性保育士がこれから増えていき、様々な期待が向けられている中、このような環境の整備を整えるのは保育園側の急務とも言えるでしょう。
オムツ交換時のお母さんやお父さんからの誤解
現場で働く男性保育士の苦労話としては、異性のオムツ交換をしている時のお母さんやお父さんの目でしょう。
ほとんどの人は気にすることはないのですが、中には「私の娘をいやらしい目で見ている!」と思われてしまいクレームが入るケースがあります。当たり前ですが、ほとんどの男性保育士はそのような目で見ていることはありません。
ただ中には「男性保育士が女児にわいせつ行為をして逮捕」や「男性教諭が女児生徒に性的ないたずら!」など報道されているのも事実。いわば、お母さんやお父さんが男性保育士に対してクレームを入れるのは漠然たる不安から来るものでしょう。
更には「あの男性保育士が気持ち悪いからオムツ交換はもちろん、抱っこなどもさせないでください!」と見た目で判断する人も。保育園側としても、このようなクレームがあった場合は配置転換を行ったり、女児の着替え指導を禁止したり、抱っこもさせないようにしたりします。
しかし、これを現場で行ってしまうと園児が「せんせー大好き!」といって近づいて来ても抱っこできず、また一緒に遊ぶことができませんので「向き合う保育」が出来なくなるのです。そうすると保育士としての責任を果たすことができないので、色々と悩むことになるでしょう。
この場合は保育園側にしっかりと伝えてお父さんとお母さんに一緒に説明していく方向性に持っていくといいでしょう。何でも言いなりになってしまう保育園だと、自分の思った保育が出来なくなる可能性があるので注意しましょう。
男性保育士が一人しかいない故の悩み
働いている保育園によっては男性保育士が2人~3人いるということもあるかもしれませんが、ほとんどが「自分一人だ!」という状況が起こりやすいのが悩みです。
保育士の仕事はほぼずっと忙しく声をかけても気づいてくれない女性保育士に肩を叩くだけでも問題になりそうで怖いとか、気も使うので「あぁ、居心地が悪いな」と感じてしまう男性保育士も少なくありません。このように感じてしまうと、なかなかコミュニケーションが取りづらくなってしまうものです。
また、悩みがあったとしても、なかなか女性保育士に気持ちが分かってもらえないことも多いので、なかなか相談することが出来ず、一人で抱えてしまう可能性も十分にあります。
そうなると自分を責めてしまったり、精神的に辛くなってしまうことも悩みところです。
普通の職場であれば、男性もたくさん働いているので気兼ねなく喋ることができますし、仕事帰りに飲みに行くこともできるでしょうが、一人だとそうもいきません。男性保育士が自分一人だと孤独感を感じてしまうこともあるので、これから働こうと思う方は注意した方が良いでしょう。
ピアノや裁縫が苦手
これは全ての男性保育士に当てはまるわけではありませんが、男性保育士の悩みとして裁縫やピアノが苦手という方も多いです。
一緒に歌を歌ったり、園児たちと絵を描いたり、玩具を手作りするなどしないといけませんが、不器用なため、上手く出来ずに苦労する男性保育士もたくさんいます。
しかし、この悩みに関しては深く考える必要はありません。最初はボタンをつけることもできないかもしれませんが、諦めずにやっていけばすぐに慣れていきます。これは女性保育士にも言えること。確かに手の器用さはあるかもしれませんが、最初から上手くできる人はいません。
また、男性保育士の中にはピアノはダメでもギターとかなら得意という人もいるので、そっちで園児と楽しむこともできます。苦手分野を頑張るのはもちろんですが、まずは自分の得意分野がある場合はそちらを積極的に取り組むことで、自分の役割を見出すことができるでしょう。
男性の平均と比べてお給料が低い
メディアでもたまに話題になりますが、保育士の給料は平均と比べて低いです。特に男性保育士に限ってみるとその給与には大きな差があります。
現在の男性の平均月給は約30万ほどですが、男性保育士の月給は23.1万円と約7万円の差。更に、これにボーナスなどを加えると男性の平均年収が481万に対して保育士は約326万円と年間160万近くも差が出ています。
この給与の低さが「男性保育士の活躍を妨げる悩みの一つ」なのです。周囲の人からすれば「子どもが好きなら給与の低さは関係ないだろ」や「仕事はお金じゃない!」と言われるかもしれませんが、現実問題お金は大事です。生活をしていく為には働いてお金を貰わないといけません。それが低いとなかなか「頑張ろう!」という気持ちにはならないでしょう。
また、歳を重ねるごとに体力的にもきつくなり園児たちと遊べなくなってしまうことも。このまま低い給料で体力的にも保育士として働いていけるのか……と不安を抱えている人も多く、今後の処遇改善に期待するしかなさそうです。
まとめ
男性保育士の特有の悩み・苦労話について紹介しましたがいかがでしたか?女性が多い職場だからトイレ一つ気を遣うのがわかったと思います。
また、保育士としてしっかりと園児と向き合っていきたいと思っても、お母さんやお父さんによっては心ない言葉・クレームを言われる可能性もありますし、仕事の割に給与がとても低いです。
このまま「こんなに問題があるから保育士辞めよう」と思うのも一つかもしれません。しかし、あえてこの問題に向かっていき、自分から出来ることを少しずつ発信していくことで、人としても大きな成長に繋がっていくでしょう。
保育園は男性保育士を必要としており、保育に間違いなく必要な存在です。これから保育士を目指そうと思っている男性の方は、その地盤を強固にしていき、保育士は男性と女性どちらも必要な仕事であると世間に広まていってください。そうすれば給与、性差ゆえのクレーム問題も少しずつ解消していくかもしれません。