給与だけじゃない!保育士が不足している原因5つ

保育士不足は、待機児童問題の原因の一つ。現在、保育士として働いている人は、全国で40万人ほどです。しかし保育士資格を持っている人は、何とおよそ120万人。つまり80万人は、資格を持ちながらも保育士として働いていないのです。

「資格を持ってる人がそんなにいるなら、給与を上げれば就職する人も増えるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、実際に国が対策しても解決はできていません。なぜなら給与以外にも、保育士不足を引き起こす原因があるからです。

ここでは、どうして保育士不足になったのか、その原因を詳しくご紹介。原因から考えられる対応策についてもご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

保育士が不足してしまった原因は5つ

保育士が減っている
難しい試験や実習も受けてきて、やっと夢を叶えた保育士。資格を持っている人は多いのに、なぜ保育士不足になるのでしょうか?その主な理由は次の5つです。

  • 新人でもプロ扱いで、仕事量が多い
  • 給与が安い
  • 保護者との接し方が分からない
  • 職場の人間関係
  • サービス残業が多い

それぞれ説明していきます。

新人でもプロ扱いで、仕事量が多い

保育士は、新人でも「保育のプロ」として見られます。責任のある仕事が多く、精神的にも肉体的にも疲れやすいため、保育士をやめてしまう人も。

一般の会社であれば、新人は先輩について一緒に仕事を覚えることが普通です。しかし、保育士は新人でも、一人で子どもたちの命を預かる責任があります。日々の仕事をこなすだけでなく、「保育のプロ」として仕事を持たなくてはいけません。とくに、自分の中で「理想の保育」を持っている人は、理想と現実のギャップに苦しむことも。

自分自身の心の焦りと周りからのプレッシャーに耐えられないため、保育士をあきらめてしまうのです。

給与が安い

保育士の給与の安さも、保育士不足を招いています。

人によってさまざまですが、都心で自立して生活するためには、最低でも手取りで15万円は必要です。しかし、保育士の平均初任給は16万円ほど。そこから保険料が差し引かれると、手取額は10万円~12万円になってしまいます。

勤務年数が長くなれば少しずつ金額は上がっていくものの、満足する金額の給料はもらいにくいのが事実。とくに男性は、「家族を養うのに、この金額では生きていけない」と他の仕事に就職する人がたくさんいます。

給与が低いと「働いても生活できない」ため、そもそも保育士を将来働く職業として選ばなくなります。

保護者との接し方が分からない

保護者との接し方が分からないため、保育士をあきらめてしまう人がいます。

例えば、保育士の保育方法が保護者の考えと合わず、知識にズレができてしまうことも。

若い新人の保育士に対して、「子どもを実際に育てたことないのに、どうしてそんなこと言われなきゃいけないの?」「私の方が、長く子どもを育ててきたんだから!」と経験年数を武器にしてくる保護者もいます。逆に、経験を積んだ保育士でもきついクレームを言ってくる「モンスターペアレント」に対して、どう対応すればいいか分からないことも。

仕事は楽しいのに、保護者との関係がうまく作れないことに悩み、保育士をやめてしまう人も多いのです。

職場の人間関係

保育園や幼稚園など職場の人間関係に悩んで、保育士をやめてしまう人がいます。

職場の人間関係は、保育士に限らず全ての社会人が悩むもの。しかし、保育士は職員のほとんどを女性が占めている、特殊な職場環境にいます。保育園全体の職員も少なく、一人ひとりの距離が近いのも特徴のひとつ。良好な関係であれば問題はありませんが、仲が悪くなったら逃げ場がありません。

相手が辞めるまで待つか、自分が退職するかを考えて、より早く解決する「退職」の道を選んでしまいます。そして、「しばらくは同じ環境にはいたくない」と保育士から遠ざかる人も増えるのです。

サービス残業が多い

サービス残業の多さから、仕事をやめてしまう保育士もいます。

保育士は子どもと関わるだけが仕事ではありません。お知らせづくりや工作の準備などを、期日までに一人で仕上げます。事務作業はだいたい子どもが帰ってから行うため、「8時半~17時まで」と定時が決まっていても、時間通りに帰れないことがほとんど。さらに、家に帰って寝るギリギリまで仕事をしている保育士もいます。

しかし、残業代を出せるほどお金を持っている保育園は、ほんの一握り。早く帰りたくても仕事が片付かず、サービス残業が増えるというループにはまり、体を壊してしまう保育士が後を絶ちません。

このような状況だと、仕事と家庭を両立したくてもできないため、保育士への復帰をあきらめてしまうのです。

以上が保育士不足の原因です。

「保育士の給与は少ない」というイメージは強いため、「国が保育園へ渡すお金を増やせば、解決するんじゃないの?」と考える人もいます。しかし、実際はお金ではどうしようもない問題も多く、保育士不足が加速してしまいます。

大切なのは潜在保育士の復帰と、今働いている保育士を潜在化させないようにすること。最後に、保育士不足への対応策を紹介します。

保育士不足への対策は、2つ

疑問をもつ女性
現在、日本で保育士不足を解消するためにできる方法は、大きく分けて2つです。

  • 政府が補助金を出すこと
  • 保育園が個性をつくっていくこと

それぞれ説明します。

政府が補助金を出すこと

政府が補助金を出すと、保育士不足を解消できます。

保育士不足問題で一番ネックになる、「給与が少ない」という問題を解決できるからです。

実際2015年に政府は改善を行っており、保育士一人当たりに対して、約9000円ほど給与に上乗せしました。2017年には値段を引き上げて、保育士一人当たり約15000円の上乗せも行っています。さらに、主任になる前の段階に「副主任」や「専任リーダー」という役職を設置し、キャリアアップしたら、一人当たり約4万円も給与アップする仕組みを作りました。

東京都では、さらに一人当たり2.1万円の上乗せも実施しています。このように、自治体が独自に考えて、保育士不足を解消しようとする動きも出てきています。

ただし、保育園が所属する自治体が違うと、まだ女性の平均月収に届いていないところも。現状のままではなく、さらに改善する必要があります。

保育園が個性をつくっていくこと

保育園が個性をつくっていくことで、保育士不足を解消できます。

個性をつくって求人広告を行うと、保育園にマッチした保育士が応募しやすくなるからです。

例えば、働く時間を「9時~15時」に限定してパートタイムの募集をかければ、子育てをするために保育士を退職した「潜在保育士」が応募しやすくなります。

他には、パソコンで事務作業をシステム化したり、パートさんと正規職員とで仕事を分担する保育園も。また、保護者対応の研修をしっかり行い、保護者との関わり方で困らないようにしている保育園もあります。

個性を打ち出さないまま求人募集をかけても、「やっぱり合いませんでした」とやめてしまう人がでてくるもの。保育園が自分自身の伝統や、職場の雰囲気を考えて個性を出していけば、どこかで「ここなら働ける!」とマッチした保育士が現れます。

政府にできないことは、自分たちで解決しようという努力が大切なのです。

まとめ

4人の保育士
保育士不足の原因と、対策について紹介してきました。

保育士は、子どもの成長を間近で感じられるすばらしい仕事。多くの子育てをする方にとって、なくてはならない仕事です。ただし、保育士の仕事の現状をよく知らない人も多く、誤解から生まれるプレッシャーで心や体を壊してしまう人もいます。

保育士不足を解決するには、給与を増やすだけでなく、事務作業のシステム化や分業など、いろんな面で職場の環境を変えることが大切です。

待機児童問題を解消するなら、保育士が働きやすい環境をつくること。保育士が働きやすくなるためには、政府に任せっきりにならず、保育園自体も個性を出していかなくてはなりません。

まずは、保育士の現状を一人ひとりが正しく理解すること。その上で対策を検討していくことが必要です。

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